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2006.01.12

授業としての展覧会

明日13日とあさって14日に、情報デザインコースの後期成果展が行なわれる。前期の終わりのオープンキャンパスでの展示とは違って、学外からお客さんがどっと詰めかけるということはない。では、「展覧会」はいったい何のためにやるのだろうか?

展示の準備にほとんど参加しない学生や、作品を並べればいいと勘違いして発表や説明をしない学生も見受けるが、たぶん「展覧会という学び」の意味や価値をわかっていないのだと思うし、なぜ授業の一部なのかを考えたこともないのだろう。

情報デザインコースでは、8年前の学科設立の時から授業の中に「展覧会」を組み込んでいる。それまでは、作品を作って提出することで‘終わり’だった「デザインの学び」を一歩先に進めて、「作品を展示して人に見せる」「説明してわかってもらう」そして「他者の意見に耳を傾ける」ことまでを、日々の学びの中に取り込もうと考えた。
‘イベントや宣伝としての展覧会’ではなく、「授業としての展覧会」の意味はここにある。

準備作業の中で学ぶことは非常に多い。…作業を見積もって計画することや、思い描いたプランを実現するための方法、人を動かすためのリーダーシップ、ひとと協力して作業をすること、コミュニケーションの難しさと大切さ、などなど。
これらは、社会に出たら「プロの仕事の現場」ですぐに必要になることだが、そのほとんどは、大学の‘課題’や‘作品制作’だけでは学ぶことはできない。そしてこれらは、展覧会の準備に真剣に取り組み、その大変さを体験した人にしか学べないものだ。

準備作業に追われ、集まらないメンバーや仕事をしない人にイライラし、苦闘している学生もいると思う。種々雑多な仕事があり、楽しいことばかりではないと思う。でも、その努力と苦労はぜんぶ「自分の力」になる。信じてやるしかない。
逆に、展覧会を甘く見て、あるいは面倒くさいと思って‘何もやってないひと’は「何も学べていない」のだ。作品だけ作れればデザイナーになれると思ったら、大まちがいなのである(笑)。

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コメント

外部から来た僕からすると恵まれてるなあ、って感じるのですが、それが当たり前になっているとその価値に気付かないんだろうなあ。最初の授業時に最後に展覧会やるかどうか意思表示させても面白いかもしれませんね。自分たちの授業作品だけが展示されなかったら萎えるだろうなあ。

投稿: 桑畑 | 2006.01.14 14:35

2日間とも学校にいたけど、作品の前に連れて行かれて「プレゼンを聞いてくださいっ!」「コメントお願いします!」という学生には会わなかったなぁ。作品の前に立っている学生はわずか数名。つまらないよね。
未来大に行くと学生にいろんなことを聞かれるし、先日、ゲストで参加した上野毛の授業では、講評をクラスの全員がものすごく真剣に聞いていた。どうせ教えるんなら、学ぼうという強い意欲と向上したいという熱意を感じる学生のサポートをしたいな。(^^;

投稿: よしはし | 2006.01.14 22:10

先日、田川さん@Leading Edge Designの特別講義を拝聴しに多摩美に伺いました。ちょうど同じ日に学内展示をやっていることに気づいたのですが、到着したときには公演時間が迫っていて、時間的に全ての作品をじっくり見ることはできませんでした。
講演の後、(あれは確かst3の学生だったと思いますが)質疑応答で発言した学生グループが田川さんに作品を見て欲しいということで僕も一緒にプレゼを聞きました。
なんだかチームワークに圧倒されました。
グループのメンバーそれぞれに説明する部分が割り振られていて、それがテンポ良く変わっていくプレゼのスタイルが非常に楽しかったです。
企業で働くようになってから「様々な分野の人と関わりを持って一つのものを作っていく。」と言う耳にタコだった先生方の言葉を身をもって体験しているわけですが、学生の頃のような濃厚なチーム作業というのはなかなか難しいものです。もの作りの中での意識の共有というテーマは今の僕には一番関心のあることがらです。学生の頃に手に入れたflashなどのスキルを利用して簡単なプロトタイプを早い段階から打ち合わせに持参するなど、ちょっとした工夫をできる範囲でやってはいるのですが、寝ても覚めても一緒というあの頃のようなグループ魂には及びません。久しぶりに学校に戻って学生の作品を見ているとなんだか羨ましい気分になりました。あぁ、貴重な体験してるなぁとか。
と、会社から長文すみません。支離滅裂な文章になってしまいましたが、仕事に戻ります。

投稿: 八木澤 | 2006.01.17 09:14

八木澤くんコメントありがとう。当日は会えませんでしたが、元気で仕事してますか?
学校でのグループワークと、会社でのグループワークは、違う点もいろいろありますよね。社会に出ている先輩のコトバは説得力がありますから、きっと学生たちの胸に届くと思います。
ちょっと都心から遠いですが、何かの時には顔をだしてください。

投稿: よしはし | 2006.01.17 22:51

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