情報デザインの10年。そして
多摩美に情報デザイン学科ができたのは10年前の1998年、学科の新設と同時に着任してからもうすぐ10年になります。クワを持って畑に出かけたあの授業(※)からもう10年もたつのですね。模索と実験を重ねながら手探りでやってきた「情報デザインの教育・研究」ですが、10年と聞くとちょっと不思議な感じです。
この10年間で、世の中には「情報デザイン」を掲げたたくさんの学科ができました。名前は掲げずとも同じような領域を指向する教育も増えてきました。そして、いろいろなひとが「情報デザイン」を語るようになりました。こんなことは10年前には予想だにしませんでした。
ここ2,3年の特徴的なことは、情報デザインの「解釈」の幅が急に広がったことです。いろいろな「情報デザイン」が同時に多数存在しているように見えます。あれもこれも情報デザイン、ここでもあそこでも情報デザイン、このひともあのひとも情報デザインの専門家...。
あるひとつの名称のデザイン分野(領域)に、こんなにたくさんの解釈があるということは、よくもわるくも、まだその分野が成長の途上であり成熟していないことの証しなのでしょうか。
こういう‘カオスな’いまの状況を見るにつけ、この分野のこれから先の健全な発展を祈らずにはいられません。いまの時点で、これから情報デザインの向かう先や情報デザインの未来の姿を、一定の精度で予見したり見通したりするのは、かなり難しいと感じています。
これから情報デザインはどこへ向かっていくのでしょうか。その答えは、5年後、10年後に出ているのでしょうか。
10年という区切りに。そして11年目の春に向けて。
※1998年から3年間行われた1年次の演習授業。学内につくった畑で作物を育てる体験をしながら、それらをモチーフとしてデッサンや色面構成、インフォグラフィックスなどの表現課題を制作した。
(ちなみに、ひとつの分野を10年続けて得た経験知を‘ディープスマート’と呼びます。情報デザインのディープスマート、ってなに?(^^;
参照:「「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質」)
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