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2009.03.31

創造は「心身の没頭」から始まる

Harvard Business Review 2009年4月号より

「習慣」と「勤勉」、「模倣」と「学習」 創造は「心身の没頭」から始まる
トゥイラ・サープ (振付師)

振付師であるトゥイラ・サープは、創造のための準備の重要性を次のように述べています。
「苦悩の芸術家と言うと、ロマンティックに聞こえますが、それは間違っていると思います。私は決して苦悩するのがよいことだとは思いません。だれでも創造的になれます。しかし、それには日頃の準備が必要であり、またそれ以外に術はありません。」(記事より引用)

イノベーションやデザインに焦点をあてた最近の経営書には、‘創造的な思考は一部の才能のあるひとたちだけではなく、誰にでもできるものだ’というような記述がよく出てきます。否定はしませんが、やろうと思えばすぐにでも(創造的な思考が)できるかのような記述にはすこし違和感を感じていました。‘(創造するって)そんなに簡単じゃないでしょう’と。

サープの「日頃の‘習慣(habit)’が重要である」という指摘は、自分の経験に照らしても正しいと感じます。大学でデザインを学びプロを志す学生たちは、まさにこの「習慣」を、演習課題の続く日常の中で身につけていきます。
教える立場から言うと、創造性を扱う教育では知識やスキルを教えることと同等かそれ以上に、この「習慣を身に付けさせること」を重視しています。教育の中のかなりの時間や資源をそのために費やしている気がします(少なくとも僕はそうです。‘しつけ’と似ているので、きちんと身に付けるまでには時間と忍耐(^^;が必要です。)

・・・経営の専門誌に著名な「振付師」へのインタビューを載せるというセンスの良さは、さすがHBRというところでしょうか(イノベーションにとって何が重要かが見えているという意味で)。

ほかに、
 ブレークスルー・イノベーターを探せ 「第二のスティーブ・ジョブズ」の育て方
 「開放系か閉鎖系か」「フラットか階層型か」 コラボレーションの原則
など。

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

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コメント

ブルデューのハビトゥスの概念に似ていますね。

他分野の学生だったので、デザインの業界に身を置くと、
デザイン学生だったり、デザイン系出身者の習慣、
風習も、ブルデューの再生産の論議も、
よく見えてきます。

こういう、現象をみると、専門知識やスキルという
問題ではなく、いわゆるデザイン系が閉じた系である
理由もわかる気がしますね。。。

コメントありがとうございます。

「誰にでもできる」の意図は、創造(クリエイティブ)は才能を持つ限られた人のものではなく神秘的なものではない、ということだと思います(その通りです)。

デザインには、経験知、実践知という面があるので、(できるようになるには)鉄棒の逆上がりや水泳みたいに日頃の「練習」や「準備運動」が必要なのだと思います。(この例えが適切かどうかわかりませんが、わりと‘体育会系’ですね(^^;)

「ブルデュー」知らなかったので、調べてみます。

(追記)
→調べました。なるほど、「ハビトゥス」は近いかんじですね。

http://www2.educ.fukushima-u.ac.jp/~miura/WebAE/WebAE/Bourdieu/Bourdieu05.html

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