出来事の視覚化−情報デザインフォーラムの発表から
先日の第4回情報デザインフォーラムから、原田泰先生のご発表について。タイトルは、「出来事の視覚化−経験の記録、記述、共有への情報デザイン的アプローチ」原田泰 氏(千葉工業大学・准教授)
原田さん(‘先生’とは呼びにくい...(^^;)とは数年間でしたが、多摩美・情報デザイン学科で同じスタジオ(教育グループ)を担当していたことがあります。「動的な情報とその表現」に関する原田さんの視点は非常に新しく、単なるビジュアル・コミュニケーションの枠には入らないオリジナルなものでした。いっしょにいて学ぶことが多かったです。
さて、今回の発表では、ワークショップをリアルタイムで記録していくプロジェクトが紹介されました。ワークショップという活動の‘記録を残す’という側面もありますが、ここでは、リアルタイム・ドキュメンテーション(以下、RTDと記す※)という取り組みに注目したいと思います。
(※学会の発表で原田さんがこのような記述をされていた記憶があります。間違ってたらごめんなさい。)
見せていただいた事例はたとえば、いま行なっているワークショップを随時記録し編集しDTPをやり、終わるころ(あるいは終わってから1週間後)には記録をまとめた印刷物を配布したもの、とか、ワークショップや講演の進行に従って、大きな壁面に写真や文字、ポストイットなどでリアルタイムに記録していき、それを参加者や聴衆に提示したもの、などでした。
事例を見ているとRTDは単なる記録ではないことがわかります。ワークショップという場で起きている様々な「出来事(できごと)」、参加者の「気付きや学び」、そして「次々と変容していくコミュニティーのダイナミズム」までをも‘写し取って’いこうとする情報デザインの新しい挑戦だと思いました。
さらに、その‘ドキュメンテーション’をワークショップ参加者に公開することで、そこでの体験が共有され、場の中に新たなインタラクションが生まれていきます。記述されているワークショップのすがたを参加者が目にしたり、あるいは主体的に記述に参加することで、参加者ひとりひとりの中にリフレクティブな思考(Reflection on Action)が生まれます。そのことが、ワークショップそのものを変容させていく要素にもなるはずです。
ワークショップの中で参加者に向けて開かれたRTDが行われる、ということを‘前提’にすると、新たなファシリテーションの方法やワークショプの新しいデザインが生まれる可能性もあるでしょう。
原田さんが手がけているのは、
ワークショップという「出来事」の中で人々の活動や学びとともに在る‘ダイナミックな(刻一刻と変化していく)’見えない「情報」を、ハンドリングし、編集し、最終的に一定のかたちへと定着させるプロセスと表現の「デザイン」
です。
動的図解表現(DIG:ダイナミック・インフォメーション・グラフィックス)の第一人者である原田さんが手掛ける「情報デザインの最先端」と言っていいでしょう。こんなことは、原田さんにしかできないデス。(^^;
発表で見せていただいたRTDは、一見すると達人にしかでない‘名人芸’のようにも見えますが、発表後にお聞きしたところ、一定のシステムができあがればそれほど難しいことではない、ということでした。今後の展開がすごく楽しみです。
‘深ーい’情報デザインの話を聞くことができて楽しかったです。(^^)
情報デザインフォーラム: 第4回情報デザインフォーラム
視覚デザイン論および演習2|千葉工業大学(原田先生の授業)
(説明不足につき一部加筆しました。2:25)
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コメント
RTDは先日どっぷりやりましたよ。
しかし、より高度な記録を取ろうとすると、人も沢山必要なのと尚かつその人は記録に徹しなければならず、ワークショップの参加とはちょっと違う立場にならざるを得ないのですよね。その辺りの考え方をどうするか、また、記録が精密になると再生時間も同じだけかかるので、どう圧縮するか(そこに作成者の意図をなるべく入れないように?)も大変だなと思います。
あと、気づくと、参加者と同じ位記録者が居るというのは、ちょっとどうかな?という気もしましたね。
投稿: 1093 | 2009.09.08 18:10
コメントありがとうございます。
高度な方、精密な方、をめざすと、そういうことになるのは想像がつきます。研究でそこを追求するのもわかりますね。質を追求せざるを得ないというか。(^^;
逆に、解像度を落としていって、どこまでのレベルならぎりぎり使えるか、役に立つのか、っていうのをやってみると「実用」の道が見えてきそうですね。
投稿: よしはし | 2009.09.08 23:21