インプロする組織
Learning × Performance インプロする組織 予定調和を超え、日常をゆさぶる
高尾 隆, 中原 淳・著
企業でのインプロ・ワークショップの様子を記述した第3章がとても興味深い。インプロが進むに従って、それがどのようにおこなわれ参加者がどう変化していくのかが、よくわかる。
高尾先生がインプロ参加者に向かって話す様々な解説や説明は、ワークショップの実践の文脈の中で意味や意図が理解できるのでたいへんわかりやすい。演劇やインプロの理論編を単独で読むよりも、深く理解できる気がする。
他の章では、身体と創造性の関係についての議論、組織の中での学習やインプロの意味、位置づけなどが取り上げられている。
経験デザイン領域(多摩美 情報デザインコース)の演習授業で、課題制作の進捗に応じて次々とワークショップを繰り出す矢野英樹先生の意図するところも、おそらく本書で述べられたものと近いところにある。身体と創造の関係はかなり深く、理論や知識とはちがったチャンネル(身体という装置)を通じて発揮される創造性もあるのだと思う。
同じく「サービスデザイン」の授業では、アイデアスケッチのあと机上での企画や検討もそこそこにアクティングアウトやロールプレイングを行い、やっているうちに次第にアイデアがかたちになり展開していく。経験的に「うまくいくやり方」で実践しているが理論的な考察を加えたことはなかった。これも、あらためて身体性と創造の関連から考えてみるとおもしろいかもしれない。
身体やインプロというほぼ言語化できないと思われる題材を、ここまで記述するおふたりはすごいと言わざるを得ない。同時に、記述されたものを読んだからと言ってインプロや身体性が「わかる」というものでもない、という点が「身体」を扱う領域が‘深い’ところでもある。
三省堂|LearningxPerformance インプロする組織 予定調和を超え、日常をゆさぶる
関連:
どみんごラボ 東京学芸大学高尾隆研究室
NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する
« 【再掲】「サービスデザイン2011」プレゼンテーション | トップページ | 図解表現使いこなしブック »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 多摩美術大学 卒業制作展・大学院修了制作展(2013.03.17)
- 岸本章 写真展 世界の民家園(2012.10.22)
- 多摩美の芸祭(2012.10.18)
- スティーブ・ジョブズ:ラスト・メッセージ (DVD)(2012.05.06)
- 実践知 エキスパートの知性(追記あり)(2012.04.06)
「デザインの本」カテゴリの記事
- THIS IS SERVICE DESIGN THINKING. (日本語版)(2013.07.19)
- かたちのみかた(2013.03.29)
- プレイフル・ラーニング(2012.12.18)
- 子どもたちの100の言葉 増補改訂版(2012.11.02)
- ポートフォリオ制作の参考になる本(2012.10.28)
「情報デザイン」カテゴリの記事
- 多摩美 情報デザインコース 卒業研究制作展 2015(2015.01.14)
- 多摩美「サービスデザイン2014」展示発表(2014.12.31)
- 多摩美 情報デザインコース「前期末展覧会」(2014.07.17)
- 情報デザインの15年、そして16年目へ(2014.04.09)
- 多摩美 情報デザインコース 卒制展 2014(2014.03.07)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
失礼いたします。Learn from Impro -高尾隆さんのインプロ・ワークショップVol.2ーのご案内です。日時:10/14(月・祝)10:00-16:15。場所:西宮市民会館 (阪神西宮駅「市役所口」改札北へすぐ)。よろしくお願いいたします。http://p.tl/tYq0
投稿: sano | 2013.09.30 07:17