それをお金で買いますか
「それをお金で買いますか―市場主義の限界」マイケル・サンデル 著, 鬼澤忍 訳
(右:原書“What Money Can't Buy: The Moral Limits of Markets”)
市場経済について、考えさせられる事例や問題提起が続出する。サンデル教授は、市場主義の及ぼす様々な影響を、強制と不公正,腐敗と堕落という視点から何度も繰り返し問う。重い問題から日常の問題まで、扱う対象も多岐に渡っている。
ひとりの人間として市場主義にどう向き合うかという視点はもちろんあるが、あえて、専門分野であるデザインやクリエイティブから本書を見てみる。関連しそうな議論が、第2章 インセンティブ、第5章 命名権 で展開されている。
何かの成果にインセンティブとしてお金を払うことや、様々なものに命名して対価(広告費)としてお金を払うことは、腐敗と堕落を招く場合があるとサンデル教授は指摘する。
特に命名権など「広告」に関するものは、いまやすっかり生活の一部になっていて違和感のない事例もあり、気づかないうちにデザイナーがその一端を担うことになりかねない。市場主義に対する様々な問いに対しこれが正しいという答えはないが、クリエイター、デザイナーとしてどうあるべきかを考える必要はあるだろう、と思う。
Michael Sandel | Harvard University - Department of Government
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