デザイン・ドリブン・イノベーション
左:「デザイン・ドリブン・イノベーション」,ロベルト・ベルガンティ(ミラノ工科大学 教授)著, 佐藤典司, 岩谷昌樹, 八重樫 文 , 立命館大学経営学部DML 訳
右:原書“Design-Driven Innovation: Changing the Rules of Competition by Radically Innovating What Things Mean”
デザインとイノベーション、マネジメントの問題に正面から取り組んだ研究。とても興味深く読んだ。
ベルガンティ教授は「意味の急進的イノベーション(Radical Innovation of Meanings)」を唱え、それはユーザー中心のデザインでは実現しないと言い切る。他社を寄せつけない「意味の急進的なイノベーション」を起こすためのデザインとイノベーションに関する考え方や経営上の施策が書かれている。
デザイン・ドリブン・イノベーションのために必要となる‘デザイン・ディスコース’は、会社をとりまく大きな文化的社会的な枠組みであり、社内のデザイン・ドリブン・ラボがそれを推進する要として機能すべきという。
本書で扱っているのは、経営者が理解すべきデザインとイノベーションの関係であり、すぐれたイノベーション研究、マネジメント研究だと思う。巷にあふれる ‘デザイン思考本’ とは一線を画す内容であり、経営学研究者としての独創性を感じる
訳者あとがきには、著者の「本書は、デザインに関する本ではない」という記述に対して、(期待を込めて)「これからのデザインの本である」と記したいという記述がある。本書のようなデザインとイノベーションに対するアプローチを、既存の「デザイン」という領域から見て正しく理解するのは容易ではない。「デザインという知的な活動」を語るための発想や視点の転換を求められていると感じた。
Roberto Verganti
立命館大学経営学部 DML :: Design Management Lab
参考:
Incremental and Radical Innovation: Design Research versus Technology and Meaning Change - jnd.org
(Donald A. Norman と Roberto Verganti の共著論文, 2012.3)
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